これまで数多く出された本の中で2番目に販売数が多いという、松下幸之助の「道をひらく」を購入しました。でもこの本は2回目の購入で、最初に買った時は下のような表紙の本だったはずなんです。
この本を初めて読んだのはまだ就職前、大学生の頃でした。20歳くらいだったかと思います。1968年に「道をひらく」の初版が出版された当時、今40を過ぎている私でもまだこの世に産まれていません。そして出版されて48年経った今でも、書店の自己啓発本コーナーに平積みで置かれているというすごい本。
書店で平積みされているこの本を手に取った時、カバーがあまりにも違いすぎて違う本かと思ったのですが、中身は昔みた本とまったく同じでした。なんでも北海道限定3000冊のブックカバー付きのものだそうです。
ぱらぱらとめくっているうちになんだかゆっくり読み返したくなって、購入しました。そういえば昔持っていた同じ本はどうしたんだろう。思い出せませんが、おそらく引っ越しの都度大量に本を処分していたのでどこかの古本屋さんに並んだのかもしれません。
人生の哲学が詰まった本
経営の神様として知られる松下幸之助、でもこの本はビジネス書というよりはエッセイ集という感じなのでとても読みやすく、先へ先へ読まなければというよりはひとつひとつ文章をかみしめて読みたいと思わせるような感じ。
40代の残りも見えてきた今、残りの自分の進むべき道を見失いつつある私にとって、いろんなことを考えさせてくれる言葉が続きます。
この本、多分読む年齢ごとによって感じ方が異なるのかもしれません。少なくとも学生時代に読んだ時と40を過ぎた今読むのとでは、解釈や感想も異なっていると思うのです。
50年近くも前に書かれたとは思えない、物事の本質や人間の生き方については不変であるというということを教えてくれる本です。
松下幸之助の本は過去にいくつか読みましたが、経営者としての姿をはるかに超えて日本という国や人としての幸せに生きていくということの重要性についてのメッセージがあらゆるところにちりばめられています。
精神論といってしまえばそれまでかもしれません。でももしかしたら今の日本にかけているものって正しい精神論なのかもしれないと感じました。多数が正義、辛さに耐えることが美徳という考えや根性論に支配された世の中には、一番大切なのは素直さと尊敬の念と謙虚な姿勢を持ち、自分にしかできないことを一生懸命頑張るということがたとえ精神論であっても必要ではないでしょうか。
2018年度から小中学校で特別な教科とされる道徳。子供は大人の姿を見て成長するのですから、今の日本はまず大人のための道徳教育が必要なのではないかと思います。この「道をひらく」は、そんな大人のための道徳の教科書としての本にはぴったりに思います。
結局人生で2度購入することとなった「道をひらく」、たぶんもう手放すことはないでしょう。たまたま手に取るきっかけとなった、この北海道限定のカバーに感謝です。
続編として「続・道をひらく」も出版されていて、こちらは電子書籍版を購入しました。こちらも素晴らしい本です。
今、本の断捨離をしているので、今後購入する本を電子書籍に移行しようと思っているのですが、「道をひらく」はずっと手元にデジタルデータではなく本として置いておきたい本でした。