特別お題「心温まるマナーの話」by JR西日本
特別お題というのがありましたので、書いてみることにします。
小さい頃、私の子はとてもよく泣く子供でした。
しかも「エーンエーン」とかそういうかわいらしい泣き方ではなく、「ギャーーーーッ」っという感じの他の人からみたら虐待でも疑われそうな感じの泣き方をする子供でしたので、外出をするにも回りの迷惑を考えてしまいなかなか旅行などは考えられない時期が長くありました。
それでもどうしても外出しなければならないときはなるべく車やタクシーを使うようにしていましたが、どうしても電車などの公共交通機関でなければ行けない場所に行かなければならなくなってしまったことがあります。
ドキドキです。いつ子供が泣きわめくのじゃないかと、緊張しながら荷物を用意して、前抱っこしてのお出かけです。
そして「その時」は突然やってきます。
近くで聞くと耳が痛くなるような声で泣き始める前に、なんとかあやしたりなだめたりするのですが、なにせ泣くのが仕事の乳児ですのでなかなかいうことを聞いてくれません。
もう、本当に周りの目が怖いんです。
明らかに迷惑そうな顔をしている方が近くにいると、もう本当に申し訳なくなって、辛くなってきます。
でもそんな時、一人の「おばちゃん」に救われました。
おばちゃんといっても私ももうおばちゃんの年齢ですのでなかなか伝わりにくいかと思いますが、60代にはまだなっていないかな?という感じの方です。
「元気いいねぇ。うちの孫も負けないくらい同じくらい大きい声で泣いたけど、風邪もひかない強い子供になったんだから。」
と話しかけてくれたのです。
話をしている間にも大声で泣き続けていたので、「うるさくしてすみません」というと、
「謝ることないよ。子供がいたらうるさいのなんてあたりまえでしょ。」
と言ってくれました。それだけでも本当に気が楽になって、ほっとしたのを覚えています。
子供がもう少し大きくなってからも、電車ではいろいろな親切に出会いました。
混み合う電車で指定席が通路を隔ててしか並んで取れなかったとき、「窓側がいい」と駄々をこね始めた娘に怒ろうとしていたら、「どうぞ」といって快く席を替わってくれたスーツの男性、短時間の電車移動中にのどがかわいたという子供にお茶をくれた女性、子供が騒いだ時に話しかけてくれて子供に飴玉をくれた年配の人。
どれも子供と一緒じゃなければ遭遇しなかったことです。
自分も子供を連れた人に同じようにできることをしよう、そう思っています。そして今はそうするようにしています。
そうしたら子供と一緒にお出かけするのがもっと楽しくなる世の中になれる、そんな気がするのです。